輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁
もう一度「馬鹿」と言いたいのを林之助は喉へのみ込んで、今夜これから出るわけにはいかない。あしたはこっちからきっと訪ねて行くから待っていろと、賺すように言い聞かせて、無理に女の手をとって駕籠に乗せようとすると、お絹は男の腕へぶら下がるようにして処女のようなあどけない甘えた声で言った。
「林さん。あたし、これからは何でもお前さんのいうことを素直に聞きますからね。不二屋へ行っちゃあいやよ。え、よくって」
「承知、承知」
銀河はいつか消えて、うす白い空の光りはどこにも見えなかった。お絹を乗せてゆく駕籠の端を、影の痩せた稲妻が弱く照らした。袖をかきあわせて立っている林之助の寝衣の襟に、秋の夜露が冷びやと沁みて来た。
「遅く門をあけさせて、気の毒だったな」
門番に挨拶して林之助は自分の部屋へ帰った。
寝入りばなを起された彼は、目が冴えて再び眠られなかった。お絹は今夜なにしに来たのであろう。おそらく酒に酔った勢いで唯なにが無しにここへ押し掛けて来たものと解釈するよりほかはなかった。この頃だんだんに狂女染みて来るお絹の乱れ心を林之助は悲しく浅ましく思った。これがいよいよ嵩じて来たら何を仕いだすかも判らない。