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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁

青空文庫

「半さま。御家来の衆が見えました」と、仲居のお雪が取次いで来た。

「八介か。何の用か知らぬが、これへ来いと言え」と、半九郎は寝ころんだままで言った。

若党の八介はお雪に案内されて来たが、満座の前では言い出しにくいと見えて、彼は主人を廊下へ呼び出そうとした。

「旦那さま。ちょっとここまで……」

「馬鹿め」と、半九郎はやはり頭をあげなかった。「用があるならここへ来い」

「は」と、八介はまだ躊躇していたが、やがて思い切って座敷へいざり込んで来た。

「用は大抵判っている。迎いに来たのか」と、半九郎は不興らしく言った。

「左様でござります」

御用の道中であるから銘々の荷物は宿々の人足どもに担がせる。その混乱と間違いとを防ぐために、組ごとに荷物をひと纏めにして、その荷物にはまた銘々の荷札をつける。それを今夜じゅうにみな済ませて置けという支配頭からの達しが俄かに来た。八介一人では判らないこともあるから、ひとまず帰ってくれというのであった。

「うるさいな。あしたでもよかろうに……」

「でも、一度になっては混雑するから、今夜のうちに取りまとめて置けとのことでござります」

「市之助。