輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁
彼はどう考えても治六が憎かった。
日が暮れると、彼はふらふらと宿を出た。今夜は駕籠に乗らずに北をむいて歩いた。憎い奴だとは思いながらも、治六に離れて彼は心さびしかった。並木の通りには宵の灯がちらちらと揺れて、二十五日の暗い空は正面の観音堂の甍の上に落ちかかるように垂れていた。風のない夜であったが、人のからだは霜を浴びているように寒かった。近いうちに雪が降るかも知れないと次郎左衛門は思った。
「吉原へ行こうか、行くまいか」と、彼は立ち停まって思案した。雷門はもう眼の前に立っていた。
今夜行ったら八橋がまたゆうべの身請け話をくりかえすかも知れない。いつもいつも曖昧な返事ばかりもしていられない。治六のお蔭で自分はどうにもこうにもならないことになった。いっそ正直に今の身の上を打明けて、とても人並の身請けなどはできないと断わろうか。それが潔白で一番いいのであるが、それを聴いて八橋がなんと思うか、次郎左衛門はすこぶる不安心であった。彼は八橋にこんなことを聞かせたくなかった。ふところに金のある間は、なるべく佐野の大尽で押し通していたかった。
彼は酒が飲みたくなった。