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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《泣虫小僧(なきむしこぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,906 字 · 70 頁

青空文庫

階下では、ハイキングに行った中の叔母の菅子が、野菊や赤い実のついた木の枝を土産にして、寛子と話しこんでいる。

「電気つけて……」

伸一郎が、つまらなくなったのか、手摺から離れると、啓吉に電気をつけてとせがんだ。机は茶餉台がわりに階下へ降りているので、踏台になるものが何もない。

「うん、電気よか、星の方がピカピカしているよ、伸ちゃん、僕がアメリカを見せてやるからお出でよ……」

「アメリカ」

「ああとてもよく見えるよ、明るくて国旗がいっぱい出ててさ……」

啓吉が、伸一郎の腋の方へ手をまわしてかかえ上げると、伸一郎の胸の動悸がことこと激しく鳴っている。

「怖いかい」

「うん」

「怖かないよ……」

かかえ上げると、伸一郎が手摺に足をふんばったので、大きな音をたててどすんと、二人とも尻餅をついた。

「何、おいたしてるのッ! どすんどすん暴れて、埃がおちて来るじゃないのウ」

啓吉は首を縮めた。伸一郎はわざと、足を畳に投げつけた。啓吉は吃驚して、伸一郎の上へ馬乗りになったが、暗い闇のなかで、伸一郎の顔の上へ、自分の顔を持って行くと、乳くさい息が、微風のように啓吉の咽喉へ吹いて来た。