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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《泣虫小僧(なきむしこぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,906 字 · 70 頁

青空文庫

菅子が一矢放った。蓮子は驚いたように唇を開けた。人妻になったとは言っても根が十七歳の少女だ。黙りこんでしまった。

省線で中野の駅へ降りると、電信隊の横の桜が大分葉を振り落していて、秋空が大きく拡がっている。啓吉にはそれがなつかしかった。

今日は学校が休みなのだろう、広場で、学校友達が群れて遊んでいる。時々遠くの群の中から、「田崎君!」と子供達が啓吉を呼んだりした。

啓吉は赧くなりながら、それでも懐かしそうに、叔母達の後から振り返ってはニヤリと笑ってみせた。どこの庭にも菊の花が咲いていて、

「郊外も此処はいいわね」

と蓮子が言うと、菅子は靴の先きで小石を蹴りながら、

「ここだって市内だよ」

と言った。

啓吉は吾家へ、四日振りに帰って来たのだけれども、まるで一年も見なかったような、遠い距離を感じるのであった。

急いで玄関を開けると、

「おや、一人かい?」

と言って、濡れ手拭を持った母親が出て来た。風呂から帰ったばかりと見えて、衿のあたりがほんのり白くなっている。啓吉は帰って来た事を叱られそうな、おずおずした目で、

「ううん」

と言った。

「まア、あンた達なの……金魚のうんこみたいにぞろぞろして……」