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じんだいしのけんきゅうほう
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(じんだいしのけんきゅうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 117,964 字 · 229 頁
また神社の祭神が上代から宗教的崇拝の対象であったことは、明かな事実であるので、それは神社において何ごとが行われたかを古典によって考えるだけでも明かなことであるが、祭祀の儀礼に報本反始とか追孝とかいうような道徳的意義を附会した儒教思想に誘われて、日本の神社の崇敬をもそういう思想の表現のように説きなすものが、近代には生じたので、それには神を古人とするのと関聯して考えられた場合もある。なお近年になって神社の崇敬に国家的意義がある如く宣伝せられて来たが、民俗としての神社の崇敬には昔から、事実として、そういうことはなかった。イセ(伊勢)神宮のみは特殊な由来の語られている皇室の祭祀であり、天皇が国家の元首であられる点において、この神宮の祭祀に国家的意義が含まれてはいたが、もとは民衆の祭祀の対象ではなかったし、近代に至りその崇敬が民衆化せられるようになると、その民衆の崇敬には国家的意義は含まれていなかった。神の祭祀が政治の一つのしごととして行われたことは上代の風習であったが、それは朝廷のこと治者の地位に立ってのことであって、一般民衆の関することではなかった。それを国民全体のことででもあったように説くのは、近年にはじまったことを上代からのことのようにいいなすのである。