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じんだいしのけんきゅうほう

津田左右吉歴史論集

津田 左右吉

線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(じんだいしのけんきゅうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 117,964 字 · 229 頁

青空文庫

などに見える人物の描写や批判にも同じ精神が潜んでいる。源平時代から後の武士には、武士の生活によっておのずから養われた特殊の気風があり、戦争という武士のしごとに伴って生じた情を抑えるならわしもその一つであって、これは平安朝の貴族にはなかったことであるが、同じく戦争のならわしから生じたこころもちとして武士の「なさけ」ということが尊ばれ、その点では「あわれ」を知ることを重んずる平安朝貴族の修養と或るむすびつきがあり、いくらかはそれからうけつがれたところもある。武士の一面には、その生活と社会的地位とから生ずる粗野なところもあり、特に下級武士、もしくはそれから成り上がったものにおいてそうであるが、その代り、その粗野は、矯飾が伴いがちの修養のない点において、素朴といわるべき半面をもつものであり、そこに却って自由な人間性の新に育て上げられる地盤がある。戦乱が長くつづいて古い文化と古い秩序とをうちこわすはたらきの強くなった戦国時代になると、一般に武士の気風のこの一面が著しくなり、それがいくさをするというしごとと戦国という社会情勢とによって、特殊の色あいを帯びながら、あるいはゆがめられた形となりながら、力強く浮かび上がって来るので、いわゆる桃山時代前後の武士の気風の一面とそれから生まれ出た文芸とは、その最もよき現われである