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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
文化方面のことについていうと、昔の日本の学者は、学問というものは他から何ごとかを学ぶことだと考えていたので、それがためにおのずから自己の学んだことを学んだままに崇信するようになり、そこから偏固な宗派心が彼らの間に養われて来た。支那に関することでは儒者の学問がそれであった。しかし現代の学問は研究することであり批判することであって、昔のような意義で学ぶことではない。そこで、例えば儒教のようなものに対してもまたそれが要求せられる。政治のおしえ道徳のおしえとしての儒教が、権力者や知識人の思想のうえ知識のうえでは、長いあいだ大なる権威をもっていたにかかわらず、その力によって支那の政治と社会とが少しもよくならず、支那の民衆が少しも幸福にならなかった、という明かな事実も、こういう研究と批判とによって始めてその理由が知られるであろう。そうしてそれがこれから後の支那人に対する指導方針を決定する重要なる資料となるであろう。儒教のみならず、あらゆる文化上の現象についても同じことが考えられねばならぬ。そうしてかかる研究が多方面に行われることは、おのずから学問の世界において支那人を導くことにもなり、日本の現代文化の力を支那人に対して示すことにもなる。