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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき

津田左右吉歴史論集

津田 左右吉

線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁

青空文庫

である。それから後にも、『古事記』や『書紀』についての考や日本の上代史上のいくつかの問題を取扱ったものを書いたことはあるが、大正時代の末ころから後のおもな著作は、シナ思想に関するものであって、初から単行本で出したものもあるが、その多くは、『東洋学報』とか『東洋文庫論叢』とか、または東大文学部出版の名義になっている『満鮮地理歴史研究報告』とか、または早大のぼくの研究室から出した『東洋思想研究』とか、そういうもので発表した。それで、どうしてこういうようなしごとをするようになったかということであるが、それには『国民思想の研究』のことから始めるのが便宜であろう。

『国民思想の研究』という書名は、出版まぎわにつけたものであるし、ああいう形でああいうものを書こうという構想のほぼまとまったのも、大正のはじめのころであったろうと思うが、手をつけはじめたのは、それよりも十二、三年前のことである。たしか明治三十三(一九〇〇)年であったように記憶するが、その前の二、三年ほどの間、地方の中学の教師をしていたのを、この年に東京に帰って獨逸学協会学校につとめることになった。同じようなしごとではあるが、いくらか新しい気分にもなったので、この機会に明治維新のことを、主として思想の方面について、少し考えてみようと思いついた。