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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
線上閱讀葉山 嘉樹《海に生くる人々(うみにいくるひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,305 字 · 321 頁
「そこまで、波止場から、どのくらいの道程があるの」
「そうさなあ、十二、三町ぐらいなもんだろうなあ」
それではとても一人の力で負ってなんぞ行けない。といって、ここでは橇ででもなければとてもだめだが、それもちょっとあるまいし、もし船長が身を入れてくれないと、今度こそは、自分は航海中に死なねばならないだろう。
「市立病院かい、それは?」ボーイ長はたずねた。
「市立じゃないけれど、公立だよ」船頭さんは答えた。「だけど、どうしてまたけがなどしたのかい」ときいた。
「ほらこの前の航海ね。室蘭を出帆する日からしてえらい暴化だったろう。あの航海に、舵機の鎖とカバーの間に食い込まれたんだよ」ボーイ長はあの時の様子を、ここで初めて語り始めた。
「その日、私はともの倉庫にキャベツを出しに行ったんだよ。おもてのおやじが、とって来いというからね。で、キャベツを三つ笊へ入れて、コック部屋の方へデッキを歩いてると、船が急に傾いたんで、左の足をウンと踏んばったんだよ。それがねちょうど都合悪くデッキが凍ってたもんだからすべって、つい鎖の方まではいってしまったんだよ。その時に舵機ががらがらと動いたもんだから、私ゃ鎖に食い込まれてしまって、カバーの中へからだを半分入れたらしいんだよ。