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うんのじゅうざはいせんにっき
海野十三敗戦日記
海野 十三
線上閱讀海野 十三《海野十三敗戦日記(うんのじゅうざはいせんにっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 83,094 字 · 167 頁
今度は風が強く、全く利敵風であった。
◯十日未明の大空襲で、東京は焼死、水死等がたいへん多く、震災のときと同じことをくりかえしたらしい。つまり火にとりまかれて折重なって窒息死するとか、橋の上で荷物を守っていると両端から焼けて来て川の中へとび込んだとか、橋が焼けおち川へはまったとか、火に追われて海へ入り、水死又は凍死したとか、川へ入ったが岸に火が近づいたので対岸へ泳いで行くと、そこも火となり水死したとかいう話が下町の方にたくさんあり、黒焦死体が道傍に転り、防空壕内で死んで埋っているのも少くないとの事である。
◯この前の雪の日の盲爆(二・二五)に八万の罹災者を生じたが、今度はその数倍らしい。
◯今日は三日月だが、罹災者の姿痛々しく、街頭や電車内に見受ける。軍公務通勤者以外は切符を売らない。
◯三月十日に焼けた区域は随分広いらしい。
わかっているものだけでも、九段上、番町界隈、銀座一丁目より築地ヘ。新橋駅より新橋演舞場の方へかけて、白金台町附近、高樹町、霞町、浅草観音さま本堂、本郷三丁目より切通坂へかけて、秋葉原界隈、田園調布界隈、司法省、茅場町、日本橋白木屋、高島屋の地下町の方面は次々と焼けたらしい。