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せいしゅうかんそうわ

清修館挿話

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《清修館挿話(せいしゅうかんそうわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,062 字 · 20 頁

青空文庫

姉がとてもよろこびますわ」

谷村さんも落ちついてものが云えるようになりました。

フルゥツパーラで、オレンジエードを飲んでその女のひとと別れると、谷村さんは、久し振りで肩で笑いながら下宿へ帰つて行きました。そして燈火のつき始めた、軒下の名札掛を眼を寄せて覗いて見ますと「小松百合子」と云つた女絵描きさんのところが、とうに空つぽになつていて、あとは一人も不足した下宿人なぞはありませんでした。

「あゝ、女の髪のひとすじの恐しや」

谷村さんは行李や、薄団をまとめると、もう日暮れだと云うのに荷車を頼んで、清修館を出ました。

「オイ引越屋さん、どこか静かな下宿へつけて下さい」

そこで谷村さんの気持を、只少し明るくしている事は、あの、押し入れの中に残して来た五六十箇の腐つた卵を、あの太つちよの女がどう処分するかと云う事でありました。