輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

とせんば

渡舟場

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《渡舟場(とせんば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,509 字 · 24 頁

青空文庫

その肥満した身体をどっしりと落着けて、いつもにこにこと愛想がいい。川原一家が去ったあとには、人数も一名多い牧田一家を受け容れることを、苦もなく承知してしまった。中村佳吉は憤慨して俺に言った。

「小母さんはあまり博愛すぎる。」

思いやりのある同情が母の持前なのだ。殊にこういう時勢になると、母はすべての人を気の毒がっているらしい。それでも、牧田一家には、主食ばかりでなく炊事一切を別にして貰うようにと、俺が主張すると、母はそれにもすぐ賛成してしまう。

「その方がよろしければ、そのように申してみましょう。」

こんなことは、母にとってはどちらでも構わないのである。

そうした母だから、八重子の涙をあまり気に留めないのも、無理はない。だが俺は、帰宅してくるとすぐに、妹の涙に気がついた。初めはそれを、群居生活の圧迫からしぼり出される涙だと、俺は思った。俺になるべく美味なものを食べさせて、俺をいたわろうと気を配っていることからしても、それに違いないと俺は思った。

俺自身、帰宅の第一日から、群居生活の狭苦しさと息苦しさとに辟易した。愛想のいい顔付や言葉が俺を取り巻いて、やんわりと締めてくる。