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まんかんところどころ
満韓ところどころ
線上閱讀夏目 漱石《満韓ところどころ(まんかんところどころ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,601 字 · 148 頁
その時は是公の御者に対する態度のすこぶる叮嚀なのに気がついて少しく驚かされた。君ちょっとそこいらの薬屋へ寄って、ゼムを買ってやって下さいと云うんだから非凡である。
君は御者に対して叮嚀過ぎるよと忠告してやったら、うんあの時の二十銭をまだ払わなかったっけと思い出したように河豚の干物をまた噛っていた。
是公の御者には廿銭借があるだけだが、その別当に至っては全く奇抜である。第一日本人じゃない。辮髪を自慢そうに垂らして、黄色の洋袴に羅紗の長靴を穿いて、手に三尺ほどの払子をぶら下げている。そうして馬の先へ立って駆ける。よくあんな紳士的な服装をして汗も出さずに走られる事だと思うくらいに早く走ける。もっとも足も長かった。身の丈は六尺近くある。
別当と御者はこのくらいにしてまた股野にかえるが、余は是公に叱られたため、とうとう股野の家へは移らなかった。けれども遊びには行った。なるほど小山の上に建てられた好い社宅である。もっとも一軒立ではない。長い棟がいくつも灰色に並んでいるうちの一番はずれの棟の、一番最後の番号のその二階が彼の家族の領分であった。岡の下から見ると、まるで英国の避暑地へ行ったようだとある西洋人が評したほど、外部は厚い壁で洋式にできているが、中には日本の香がする奇麗な畳が敷いてあった。