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げんぞうがはら
源蔵ヶ原
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《源蔵ヶ原(げんぞうがはら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 頁
のか、又次郎はじっと眼をつむった。
「額を手で押えて」と市三がそっぽを見たままで、独り言のように呟いた、「あ、いけない、って云うのが癖だったな」
「そのときちらっと舌の先を出すんだ」と忠太が付け加えた、「――又のやつはあんなことを云うが、ふしぎとおれのときには注文を聞き違える、酢の物ってえと塩焼、湯豆腐ってえと寄せ鍋、――たまにはこっちもかちんとくらあ、どうしたんだと云うと、片手で額を押えて、舌の先をちらっと出して、あ、いけないって、――おれにゃああれがたまらなかった」
表の店のほうも客が混んできたのだろう、板場へ注文をとおす女たちの声や、客の話したり笑ったりする声が賑やかに聞えた。
「おれたちとはまる三年の馴染だったな」
「まる三年と五カ月だ」と忠太が又次郎の言葉に朱を入れた、「なかま六人が揃ってはたちになって、その祝いに初めてこのうちへ飲みに来た」
「泰二は二十一さ」と又次郎が云った、「そのとき番になったのがお光ぼうだ」忠太は又次郎には構わずに続けた、「ひどく姉さんぶっているからとしをきくと、十六だって、――躯も顔もちまちまっとしていたが、十八より下た