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そうせきのじんぶつ

漱石の人物

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《漱石の人物(そうせきのじんぶつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,438 字 · 23 頁

青空文庫

また古顔の連中は、鈴木三重吉のほかは皆一高出であったが、若い大学生では赤木、内田両君が六高、松浦君が八高出であった。だから私はちょうどこの断層のまん中にいたことになる。芥川龍之介の連中が木曜会をにぎわすようになったのは、さらに二年の後、大正五年のことである。

古い連中と新しい連中との間には、年齢から言っても六、七年、あるいは十年に近い間隙があったし、また漱石との交わりの歴史も違っていた。古い連中は相当露骨に反抗的態度を見せたが、新しい連中にはそういうことはできなかったし、またしようとする気持ちもなかった。しかし大正三年のころには、そういう断層のために何か不愉快な感情が起こるということは、全然なかったように思う。これは私が鈍感であったせいかもしれぬが、とにかく私自身は、古い連中が圧制的だと感じたこともなかったし、また漱石に楯を突く態度をけしからぬと思ったこともない。初めのうちは、弟子たちが漱石に対して無遠慮であることから、非常に自由な雰囲気を感じたし、やがてそのうちに、前に言ったような弟子たちの甘えに気づいて、それを諧謔の調子で軽くいなしている漱石の態度に感服したのである。