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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスI――初期短編集(しょうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,319 字 · 84 頁
「今ね、仙吉を白酒で酔っ拂わしてやるんだよ」
こう耳うちをしたが、直ぐにばた/\と仙吉の方へ駈けて行って、
「おい仙吉、これから四人でお酒盛りをしようじゃないか」
と何喰わぬ顔で云い出した。
四人は圓くなって、豆炒りを肴に白酒を飲み始めた。
「此れはどうも結構な御酒でございますな」
などゝ大人めいた口をきいて皆を笑わせながら、仙吉は猪口を持つような手つきで茶飲み茶碗からぐい/\と白酒を呷った。今に酔っ拂うだろうと思うと可笑しさが胸へこみ上げて、時々姉の光子は堪りかねたように腹を抱えたが、仙吉が酔っ拂う時分には少しばかりお相手をした他の三人も、そろ/\怪しくなって来た。下腹の辺に熱い酒がぶつ/\沸き上がって、額から双の蟀谷がほんのり汗ばみ、頭の鉢の周囲が妙に痺れて、畳の面は船底のように上下左右へ揺れて居る。
「坊ちゃん私は酔いましたよ。皆も真赤な顔をして居るじゃありませんか。一つ立って歩いて見ませんか」
仙吉は立ち上がって大手を振りながら座敷を歩き出したが、直ぐに足許がよろけて倒れる拍子に、床柱へこつんと頭を打ち付けたので、三人がどっと吹き出すと、
「あいつ、あいつ」