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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスI――初期短編集(しょうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,319 字 · 84 頁
れて了いました。それでも三平には、梅吉の酷い言葉が嬉しくって嬉しくって堪まりません。果ては女の与える暗示のまゝに、云うに忍びないような事をします。
散々弄んだ末に、梅吉は十分三平を睡らせて、皆と一緒に其処を引き上げて了いました。
明くる日の朝、梅吉に呼び醒まされると、三平はふと眼を開いて、枕許に坐っている寝間着姿の女の顔を惚れ/″\と見上げました。三平を欺すように、わざと女の枕や衣類が其の辺に散らばって居ました。
「妾は今起きて顔を洗って来た所なの。ほんとにお前さんはよく寝て居るのね。だからきっと後生がいゝんだわ。」
と、梅吉は何喰わぬ顔をして居ます。
「梅ちゃんにこんなに可愛がって貰えりゃあ、後生よしに違いありゃせん。日頃の念が届いて、私ゃあ全く嬉しゅうがす。」
こう云って、三平はピョコピョコお時儀をしましたが、俄かにそわ/\と起き上って着物を着換え、
「世間の口がうるそうがすから、今日の所はちっとも早く失礼しやす。何卒末長くね。ヘッ、此の色男め!」
と、自分の頭を軽く叩いて、出て行きました。
「三平、此の間の首尾はどうだったい。」
と、それから二三日過ぎて、榊原の旦那が尋ねました。