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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
線上閱讀外村 繁《澪標・落日の光景(みおつくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,889 字 · 268 頁
私はそんな春枝に不満の表情を装ったりした。
一年の担任は長谷川綾子先生である。長谷川先生は髪を束髪に結い、紫の袴を着けている。当時、母や、祖母は丸髷、女中達は蝶蝶髷に結っていた。私は丸髷という髪型を好まない。というより、積極的に疏しく思っていた。そのためか、その髪型ばかりにでなく、長谷川先生自身に、私は新味を覚えた。また長谷川先生は私達には優しいが、半面、凜として侵し難いものがある。私は全幅の信頼と尊敬とを持った。
二年生になった。担任は新任の平井つや子先生である。平井先生は長谷川先生より更に若く、庇の突き出た束髪に結い、同じく紫の袴を着けている。平井先生の若若しさは少年達にも解るものか、運動場に出ると、私達は競って先生の手にぶら下った。しかし平井先生の授業はかなり厳格で、私は快い緊張を解くことはなかった。
その頃の田舎の子供達は猥褻な言葉をよく口にする。勿論、何の感情も伴うものでないから、却って極めて露骨である。それ等の言葉が禁忌であることは薄薄知っている。しかし何故禁忌であるかは知らない。また少年達にとって、禁を破るということはかなり魅力のあることでもある。