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はなかみろうにん

濞かみ浪人

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《濞かみ浪人(はなかみろうにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,425 字 · 39 頁

青空文庫

『して、相手方の、数右衛門は何うなりましょうな。その次第に依っては、一閑の皺腹を賭しても、娘の汚名を洗わねば、他家へ白無垢は着せてやれませぬが』

『――不届き者と、殊のほか、殿にも御立腹である』

『それだけでお座ろうか』

『御折檻の為、即刻、転役仰せつけられた』

『又、お国表の方へ』

『いやいや、先頃より松山城の城受取り方の公命が当藩に下っておる。その為、お国表から、大石内蔵助殿が御人数を率いて四国へ渡っておられる故――その方へ、差廻されることになった』

『何の御勘気もなく』

源吾は、改まって、

『御隠居、あなたも若気の御子息をお持ちのことだ。今までも今迄、この先も猶どのような事が起るまいも限らぬぞ。――余りその辺のお沙汰には、論議なさらぬ方がお為ではなかろうか』

『いや、お上のお沙汰でござった。今のことばは、子葉殿として聞いておくりゃれ。……どれ、今日は忙しゅうござれば』

老人も源吾の言葉の裏を読んで、あたふたと、引取った。

もちろん、その晩の婚儀は万端運んでいる様子だった。

それにひきかえて、数右衛門は長屋の一室に、平日の面影もなく、俯向いたきりで畏まっていた。