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とろ
瀞
佐藤 垢石
線上閱讀佐藤 垢石《瀞(とろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,908 字 · 30 頁
私は、また驚いたのである。
君、そんなに驚かんでもよろしいのだよ。君ら東京人の気持ちからすれば、あまり安いのに感激して一泊一円も二円も払いたいところであろうが、それはかえって無意味なことになる。結果がよくない。いったい、ここらあたり僻地では、茶代というものは一人一泊で五銭か十銭にきまっているものだ。それだけで、貰う方は客の行為に対して充分に満足している。であるのに、旅籠料の三倍も四倍もの心づけを置くのは、無計算ということになる。相手の気持ちの寒暖計は、十銭だけで目盛りの頂点に達しているから、それ以上いかに多くの心づけを置いたところで、目盛りが上がるわけがない。かえって、この客は銭勘定を知らぬ人間、銭を粗末にする人間であるとして、卑下の気持ちを起こさせるだけだ。良薬にも過量があるから、効くからといって、無闇に量を多くのんだところで、かえって害になる。なにも、強いて多くの金を払って、相手の気持ちを不純にせんでもよかろうじゃないか。
雨村は、夏の陽に真っ黒にやけた顔の眼、口、鼻のあたり、筋肉を揺すって高く笑った。
そんなものかなあ、雨村の説明するところをきいて、無上に感服したのである。