輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ひのとり

火の鳥

太宰 治

線上閱讀太宰 治《火の鳥(ひのとり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 37,740 字 · 76 頁

青空文庫

」数枝は、ことさらに大げさなあくびをした。「それで、須々木乙彦は、よかったのかね。」

数枝の無礼を、気にもかけず、

「あのひと、ね、おかしいのよ。とても、子供みたいな、へんな顔をして、僕は、乳房って、おふくろにだけあるものだと思っていた、というのよ。それが、ちっとも、気取りでも、なんでもないの。恥ずかしそうにしていたわ。ああ、この人、ずいぶん不幸な生活して来た人なんだな、と思ったら、あたし、うれしいやら、有難いやら、可愛いやら、胸が一ぱいになって、泣いちゃった。一生、この人のお傍にいよう、と思った。永遠の母親、っていうのかしら。私まで、そんな尊いきれいな気持になってしまって、あのひと、いい人だったな。あたしは、あの人の思想や何かは、ちっとも知らない。知らなくても、いいんだ。あの人は、あたしに自信をつけてくれたんだ。あたしだって、もののお役に立つことができる。人の心の奥底を、ほんとうに深く温めてあげることができると、そう思ったら、もう、そのよろこびのままで、死にたかった。でも、こんなに、まるまるとふとって生きかえって来て、醜態ね。生きかえって、こんなに一日一日おなじ暮しをして、それでいいのかしらと、たまらなく心細いことがあるわ。