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はいかぐら
灰神楽
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《灰神楽(はいかぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,262 字 · 27 頁
についてであった。彼自身には、ただ変な手答えの外何の物音も聞えなかったけれど、拳銃が発射された以上、「銃声」が響かぬ筈はなく、それを聞きつけて、誰かがここへやって来はしないかという心配であった。
彼はいきなり立上って、グルグルと部屋の中を歩き廻った。時々立止っては耳をすました。
隣の部屋には階段の降り口があった。だが庄太郎には、そこへ近づく勇気がなかった。今にもヌッと人の頭が、そこへ現れ相な気がした。彼は階段の方へ行きかけては引返した。
併し、暫くそうしていても、誰も来る気勢がなかった。一方では、時間が立つにつれて、庄太郎の記憶力が蘇って来た、「何を怖がっているのだ。階下には誰もいなかった筈じゃないか」奥村の細君は里へ帰っているのだし、婆やは彼の来る以前に、可也遠方へ使に出されたというではないか。「だが待てよ、若しや近所の人が……」漸く冷静を取返した庄太郎は、死人のすぐ前に開け放された障子から、そっと半面を出して覗いて見た。広い庭を隔てて左右に隣家の二階が見えた。一方は不在らしく雨戸が閉っているし、もう一方はガランと開け放した座敷に、人影もなかった。