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ぶらいはうたず
無頼は討たず
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《無頼は討たず(ぶらいはうたず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,446 字 · 23 頁
糞を喰え――親を殺した当の野郎が大手を振ってのさばりかえるのを見ながら、太物商いをして世を過そうなんて女の腐ったような意気地なしめ」
「まあ待て、待てったら丹三」
「待たねえ、こんな腑抜けとは知らず、今日まで待っていたのはこっちが白痴だ、親分の恨みはこの丹三一人で立派にお晴らし申してみらあな、この人でなしめ」
いきなり拳をあげて半太郎に殴りかかろうとするのを、
「待て、丹三、危ねえ」
と二、三人で抱きすくめる。
「放してくれ、おらあ胆が煮えて仕様がねえんだ、放してくれ」
「まあよい、おれに任せろ」
とようやく表へ担ぐようにして連れ出した。半太郎はじっと騒ぎの鎮まるのを待っていたが、やがて静かに顔をあげて、
「それではこれで申上げる事は終りました、おっつけ法事で寺から人が見えるはずですから、失礼ですがこれでお引取りを願います」
「じゃあ――」
と吉蔵が云った。「どうでもいまおっしゃった通りになさるお積りでござんすか」
「母も得心のうえでございます、何もおっしゃらずにお引取り下さいまし」
半太郎は奉書包をずっと前へ押しやった。
「――と云う訳だそうですよ」
「へええ」
あれから二年経って、春たちかえる三月のはじめ、韮崎の宿はずれで茶店の老婆と、これは旅人らしい男との話である。