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くまのでるかいこんち
熊の出る開墾地
佐左木 俊郎
線上閱讀佐左木 俊郎《熊の出る開墾地(くまのでるかいこんち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,070 字 · 31 頁
開墾地には大騒ぎが始まるのだった。彼等四十に近い家族のすべての者が熊に対って怒鳴り、叫び、闘うのだった。彼等の団結力が、この時ほど真剣に構成されて行動することはなかった。――そのほか、ほとんど外界との交渉のない原始林の中なのだ。嘘と出鱈目と恋とが無くては暮らせる世界ではなかったのだ。
*
三年の間というもの、彼等は滅茶苦茶に開墾地域を掘り捲くった。地主からの貸し付け食糧を補って、僅かに自分達の餓えを凌ぐのに足るだけの、蕎麦、馬鈴薯、南瓜などを作るだけで、それ以外の労働力はすべて開墾に注ぐのだった。完全にその土地を自分達の所有にしようとの努力だった。要するに処女地の皮を引き剥ごうとの三年間なのだった。
とにかく、そして一通りの開墾が済むと、初めて地主の藤沢がそこへ顔を出した。そして彼等の小屋の近くに木造の事務所を建てた。今まで札幌の方で待合兼料理屋というような稼業をして来ている藤沢は、自分の健康のために、夏から秋だけをここで暮らし、開墾場の収穫を売り付けてやったり、開墾場で必要なものは自分が代わって取り寄せてやるなど、移住開墾者達と都会人との間に立って、彼等の売買、或いは物々交換に、いろいろ面倒を見てやりたいというのだった。