輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちちやくもをかたる
父八雲を語る
稲垣 巌
線上閱讀稲垣 巌《父八雲を語る(ちちやくもをかたる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,383 字 · 15 頁
ざるを得なかったといふ個所も当然ありますが、日本の原著者が迚も想像もしなかったと思はれる程の精確細密を極めた描写が全篇にあふれて居りまして、あれを書き上げるまでには、ヘルンはもとよりですが、ヘルン夫人も、とも/″\に苦心して、ずゐぶん想を練り用語を研究したのであります。「門を開け」と武士が呼ぶところでも「門を開け」では強味もないし、凄味も少いといふので、色々考へた末「開門」としたのですが、ヘルンは夫人から「開門」はどうですと言はれた時、飛び上って喜んださうです。
其の頃のこと、或日、日が暮れてもランプをつけてゐません。夫人は襖をあけないで次の間から小さな声で「芳一、芳一」と呼んださうです。すると「はい、私は盲です。あなたはどなたでございますか」と内から云ってそのまゝ黙ってゐるといったやうな場面もあったさうです。書斎のすぐ後の竹薮で、夜、笹の葉ずれがサラサラと致しますとヘルンは「あれ、平家が亡びて行きます」とか、風の音を聞いて「壇の浦の波の音です」と真面目に耳をすましてゐました。
かういふ風に何か書いてゐる時には、その事ばかりに夢中になるのですが、いよ/\油が乗って来ると、よくありもしない物を見たり、聞いたりするやうにさへなりました。