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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《犀星王朝小品集(おぎふくうた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,794 字 · 211 頁
だが、そういう浅薄な人ではなかったはずだ。それでは死か、死ぬような人でもない、もしそうであったら誰からか知らせてくるはずであった。やはり女であろうか、筒井はそれも信じられぬことに思われたが、ああいう変に気の好い人というものは自分で確乎しているつもりでも、つい気の好さから人に愛されるようになる。筒井自身が愛していたようなそれが男の上にあたらしく訪ずれているのではなかろうか、筒井はいつもこの二つの問題のあいだを殆ど一年間往来していて、いつも解決のつきようがなく深くはまってゆくばかりであった。
ことしの正月は袿をつけた筒井は、もう土地がかり官人の家の仕えの女であるよりも、娘子を見るような品の高いものであった。彼女は一家の着るものから調度の類、諸儀式の器物、塗籠にある品々、とりわけ青年の身のまわりの物はすべて筒井が見ていて、筒井がいなければ一家の器物の一つを尋ねるに、全部の長持や箱、棚の中を捜さなければならなかった。あこには何がはいっていて、此処には何がしまわれているかということまで、筒井は誦んじていた。土地のことで忙しい父と息子は、もう筒井がいなければ一日として送れないまでに、筒井はこの家にいなければならない女になっていた。