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いぬがなくとガラスがこわれるか

犬がなくとガラスがこわれるか

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《犬がなくとガラスがこわれるか(いぬがなくとガラスがこわれるか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,337 字 · 41 頁

青空文庫

これでわかったように、原因と結果とは、そういうものが、べつべつに自然界にあって、それが一本の糸でつながっているものではない。人間が原因結果という順序立てをして、ものごとを考えるということである。

この順序立てによって、なにか新しい知識が得られる場合は、因果律が適用されるといい、そうでない場合は、されないというだけのことである。風が吹けば桶屋がもうかるという、日本のむかしの笑話は、この間の消息を巧みについている寓話である。風が吹くことと、桶屋がもうかることとを、順序立ててみてもなにも新しい知識は得られない。こういう場合には因果関係はないというのである。

風と桶屋の笑話をご存じない方があるかもしれないので、念のためにちょっとつけ加えておく。風が吹くと、ほこりが立つ。ほこりが立つと、それで眼を悪くする人が多くなる。すると盲目になる人もふえる。盲目は三味線ひきか按摩になる。したがって三味線がたくさん要る。三味線の胴皮は猫の皮であるから、猫がたくさん殺される。すると鼠がふえて桶をかじる。そうすれば桶屋がもうかるというわけである。

しかし、自然現象のなかには、因果律で整理してみると、役に立つ知識が得られる場合がたくさんある。