輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《猫と庄造と二人のおんな(ねことしょうぞうとふたりのおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 頁

青空文庫

そう云えば、猫は二人きりになると接吻をしたり、顔をすり寄せたり、全く人間と同じような仕方で愛情を示すものだと聞いていたのは、これだったのか、いつも人の見ていない所で夫がこっそりリリーを相手に楽しんでいたのは、これをされていたのだったか。―――彼女は猫に特有な日向臭い毛皮の匂を嗅がされ、ザラザラと皮膚に引っかかるような、痛痒い舌ざわりを顔じゅうに感じた。そして、突然、たまらなく可愛くなって来て、

「リリーや」

と云いながら、夢中でぎゅッと抱きすくめると、何か、毛皮のところどころに、冷めたく光るものがあるので、さては今の雨に濡れたんだなと、初めて合点が行ったのであった。

それにしても、蘆屋の方へ帰らないで、此方へ帰ったのはなぜであろう。恐らく最初は蘆屋をめざして逃げ出したのが、途中で路が分らなくなって、戻って来たのではないであろうか。僅か三里か四里のところを、三日もかかってうろうろしながら、とうとう目的地へ行き着けないで引っ返して来るとは、リリーにしては余り意気地がないようだけれども、事に依るとこの可哀そうな獣は、もうそれほどに老衰しているのであろう。気だけは昔に変らないつもりで、逃げてみたことはみたものの、視力だの、記憶力だの、嗅覚だのと云うものが、もはや昔の半分もの働きもしてくれないので、どっちの路を、どっち