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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 頁

青空文庫

全くね、あれでうちは、トマトがすっかり花をおとされて駄目となり、南瓜の葉は穴だらけ。わたしは喉風邪をひきました。犬を丁度つないでおく時季でした、キャンキャン鳴くのよ、こわいのと、雹にうたれるのとで。台所の古レインコートをかぶって、三和土の中へ入れようとして二匹いじっている間に、すっかり雨がとおって、背中がぬれました。そのとき古田中さんがあの孝子の俤をもって来ていて、そのままお相手をしていたら、ぬれたのは乾いたけれど、夜中ドラ声になってしまいました。じき治ったけれども。白藤およみになって? まだでしょうか。

おなかの調子、ぶりかえしは閉口ですね。あなたの御努力にたよって安心しているしかないというのは、何度くりかえし考えてみても妙な工合です。馴染みにくいことです。でもおかゆになれて大分ましでしょうが、副食物がそれだとなしでしょうから、これ又困ること。どうか早く涼しくなり、おなかもましになり体重も恢復して下さるように。あなたに比べれば、わたしは相すまない位のものだと思います。自分の近年のレコードではあってもね。丁度ジャガイモ一俵分よ、わたしは。

家のことは開成山からの手紙にも申上げたとおり、成城をきめておいてようございました。