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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 頁
うちの隣組をあっちこっち歩いて、全くびっくりいたします、どこのうちも、どうしてああなめたようなんでしょう。そのために一生を費している人々には叶いっこないと、率直簡明に、うちのオホホホを承認いたします、情熱がちがいますから。こうかいていて、はた、と思い当ったことがあります。思い当って、これは大変と思ったの。あなたは、もしや万※一にも、ユリが、文章を、だ、だ、で終らなくなったのだから、きっと家もちも何となしあかぬけたろうなどと思いちがいしてはいらっしゃらないわね、大丈夫ね。わたしは、その前に坐って眺めて眺めて、眺めあかざるものがあったら、迚も台所をテカリとさせるために、立ち上るというような芸当は出来ないのよ。すると、そのうちにいつしか風は埃を運んで、遺憾ながら草履なしでは歩くに難き板の間よ、となってしまいます、風のつみよ、ね。わるいのは。
この手紙終る迄甲高いあのチュウジョウサン! がきこえないといいと思います、八百や魚やの品わけが、午後というわけだったから。
九月六日のお手紙。先ず本の予告の勘ちがいのこと、お詫びいたします。仰云ることよく分ります、わたしは、これでも追風に背中をもたせて足をすくわれない用心はして居るつもりなのですが、あの本のことは、すみませんでした。