輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

線上閱讀岡本 かの子《生々流転(しょうじょうるてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 297,521 字 · 586 頁

青空文庫

わたしはかの女がいのち賭けで起して呉れるそれのお相伴に与って、僅に人生の無聊を消し得たのではあるまいか。それならわたしは相当狡い人間である。やっぱり自分自身に就て愛想が尽きる。実際、かの女が生きていたうちは、しょっちゅう激しい不安の期待にはら/\させられ、震災の際の夜の帯のように緊張を解く暇はなかった。かの女が死んで全てが嘆きである中にたった一つ天を拝し地を拝しても感謝すべきことがある。それはかの女が狂気することの惧れから逃れたことである。わたしは意識不通になったかの女の傍で看護すべき歳月をも予想して、それにも堪える覚悟さえしていた。

そしてこの惧れが無くなった日に遭遇してみて、あまりに天地がぽかんとしたのにどうしてあの時分のその覚悟が自分の力で出来たものかと不審がられるくらいであった。かの女は元来壊れ易いものに出来ていた。その癖、自分を壊れるか壊れないかの界まで試みてみなければ承知できなかった。かの女の生涯の口癖は「乗るか逸るか」であった。中間のものは生甲斐としなかった。これに添ってゆく傍の者は遣り切れないの連続と共に傍目も振れぬ充実の継続であった。