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いきぬくちから
生きぬく力
小川 未明
線上閱讀小川 未明《生きぬく力(いきぬくちから)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 5,352 字 · 11 頁
黒いマントを頭からかぶって、がたがたの自転車に乗った少年が走ってきました。折れたハンドルを、針金やひもで結び合わせて、巧みにあやつりながら、足には破れたくつをはいていました。息をきらしながら犬がついてきます。門のところで、自転車を降りると、前側の板べいへ寄せかけて、ポケットから、焼き芋を出して、自分は食わずに、それを犬にやりました。犬は、一口に食べると、少年の顔を見上げて尾を振っていました。少年は、マントの下に肩からかけた、新聞の束から、一枚引き抜くと、門を開けて入り口へまわらずに、竹の垣根の方へ近づきました。
ちょうど、空をこうしの内からながめていた孝二は、いつも新聞をここへ入れていくのは、この子が配達するのかと思って見ていました。しかし、子供の手は、垣根の外から伸ばしても窓の内へはとどかなかったのです。少年は、窓の際に、自分ぐらいの子供の立っているのに気づきました。
「はだしになって、上がってもいい。」と、どろのついたくつをぬいで、くつ下の穴から冷たそうに指の出ている足を垣根にかけました。
「ああ、いいよ。」と、孝二は、やさしく答えたのです。そして、新聞を受け取ろうとして、マントに半分隠れた顔をのぞくと、