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せいぜんしんごのこと

生前身後の事

中里 介山

線上閱讀中里 介山《生前身後の事(せいぜんしんごのこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,804 字 · 83 頁

青空文庫

のだが、当時災害に遭って物質的にも精神的にも飢え切っていた市民は競うてこの震災版を求めること渇者の水に於ける如くで、この震災版が売れたことも震災直後の出版物としては第一等であったろうと思われるが、然し、ああいう際にこの読み物の与えた市民への慰藉はまた確かに著者としても出版者としても一つの偶然な功徳といってよいと思う。

その事が終ってから、こんどは大毎、東日へ誘われて続きを書くことになったのである、そこでまた宣伝力が大いに拡大して来た、両紙へ書き出したのが「無明の巻」で、こんどは最初から巻の名をつけることにした、それをまた、この両紙へ執筆したのが七〇〇回ばかりに及んで、それを次々にまとめて、五冊、六冊、七冊の三冊各定価三円位ずつ Ocean の巻までを出した、引続き前のと共に盛んに売れたものである、しかし、大毎東日との関係はそこで絶たれてしまって第八冊の「年魚市の巻」は全く新聞雑誌に公表せず書き下しのまままとめて出版したのである、それから第九冊「畜生谷の巻」と「勿来の巻」とは国民新聞に連載したのをまた改めて一冊とし、第十冊「弁信の巻」