輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《生死卍巴(せいしまんじどもえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 頁

青空文庫

古沼の岸を巡って越し、灌木の多い境地へ出た。

と、その時人の足音が、ひそやかに二人の背後の方でした。

しかし二人には解らなかった。

不意に浪江が苦しそうに云った。

「申し上げることにいたします。どなたかにお話しいたしませねば、妾良心の苦しさに、息詰まってしまうのでございます。……あの内陣にあるものは、盗んで来た品物でございます。……しかも片輪なのでございます!」

「浪江!」と、その時鋭い声が、いや、幽鬼的の兇暴の声が、背後にあたって響き渡った。

同時に風を切る音がした。

「あれ!」

「伯父上!」

ガラガラガラ!

体は長身、髪は切り下げ、道服めいた衣裳を着た、一人の老人が鉄の杖を、両手で頭上に振り冠り、怒りと憎しみとで顔を燃やし、水銀のようにギラギラと光る、鋭い眼で、一所を睨みながら、あたかも鬼のように立っていた。

外ならぬ宮川覚明であった。

そういう覚明から二間ほど離れた、桧の大木の背後の辺りに、一個の群像が顫えながら、覚明を見詰めて、立っていた。

覚明が背後から鉄の杖で、浪江を撲殺しようとしたのを、早くも気勢で察した茅野雄が、刹那に浪江を引っ抱え、瞬間に飛び退いて難を遁れ、いまだに浪江を引っ抱えたままで、立っているところの姿なのであった。