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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁
県庁の役人が車を五六台並べて通って行った時には、先生も生徒もみんな授業をよそにして、その威勢のいいのにみとれていた。
清三の父親は、どうかすると、商売のつごうで、この近所まで来ることがある。縞の単衣に古びた透綾の夏羽織を着て、なかばはげた頭には帽子もかむらず、小使部屋からこっそりはいってきて、「清三はいましたか」と聞いた。初めはさすがにこうした父親を同僚に見られるのを恥ずかしく思ったが、のちにはなれて、それほどいやとも思わなくなった。近所に用事が残っているというので、清三は寺に帰るのをやめて、親子いっしょに煎餅蒲団にくるまって宿直室に寝ることなどもあった。
その時はきっと二人して手拭いを下げて前の洗湯に行く。小川屋から例の娘が弁当をこしらえて持って来る。食事がすむと、親子は友だちのように睦まじく話した。家の困る話なども出た。ありもせぬ財布から五十銭借りられて行くことなどもある。
七月にはいっても雨は続いて降った。晴れ間には日がかっと照って、鼠色の雲の絶え間から碧の空が見える。畑には里芋の葉が大きくなり、玉蜀黍の広葉がガサガサと風になびいた。熊谷の小島は一高の入学試験を受けに東京に出かけたが、時々絵葉書で状況を報じた。