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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁
五十六
肺病ではないかときくと、そういう兆候は今のところでは見えませんと言った。今のところという言葉を清三は気にした。
五十六
滋養物を取らなければならぬので、銭もないのに、いろいろなものを買って食った。鯉、鮒、鰻、牛肉、鶏肉――ある時はごいさぎを売りに来たのを十五銭に負けさせて買った。嘴は浅緑色、羽は暗褐色に淡褐色の斑点、長い足は美しい浅緑色をしていた。それをあらくつぶして、骨をトントンと音させてたたいた。それにすらかれは疲労を覚えた。
泥鰌も百匁ぐらいずつ買って、猫にかかられぬように桶に重石をしてゴチャゴチャ入れておいた。十尾ぐらいずつを自分でさいて、鶏卵を引いて煮て食った。寺の後ろにはこの十月から開通する東武鉄道の停車場ができて、大工がしきりに鉋や手斧の音を立てているが、清三は気分のいい夕方などには、てくてく出かけて行って、ぽつねんとして立ってそれを見ていることがある。時には向こうの野まで行って花をさがして来ることもある。えのころ、おひしば、ひよどりそう、おとぎりそう、こまつなぎ、なでしこなどがあった。
新聞にはそのころ大石橋の戦闘詳報が載っていた。