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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁
前の旅人と今の男とのあいだに何かの争闘が起ったのではあるまいかと、かれは不安ながらに立っていると、やがて筒袖の男があわただしく引っ返して来た。
「ちょいと手を貸してくれ、怪我人がある。」
男と一緒に駈けて行くと、森のなかにはかの旅人が倒れていた。かれは片手にピストルを掴んでいた。
「その旅人は何者なんです。」と、わたしは訊いた。
「なんでも甲府の人間だそうです。」と、重兵衛さんは説明してくれました。「それから一週間ほど前に、諏訪の温泉宿に泊まっていた若い男と女があって、宿の女中の話によると、女は蒼い顔をして毎日しくしく泣いているのを、男はなんだか叱ったり嚇したりしている様子が、どうしても女の方ではいやがっているのを、男が無理に連れ出して来たものらしいということでした。それでも逗留中は別に変ったこともなかったのですが、そこを出てから何処でどうされたのか、その女が顔から胸へかけてずたずたに酷たらしく斬り刻まれて、路ばたにほうり出されているのを見つけ出した者がある。無論にその連れの男に疑いがかかって、警察の探偵が木曽路の方まで追い込んで来たのです。」
「すると、あとから来た筒袖の男がその探偵なんですね。