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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁
や料理屋の女中たちはみんな冬坡の店へ煙草を買いに行きます。冬坡はおとなしい上に男振りもいいので、浮気っぽい花柳界にはなかなか人気があって、ちっとぐらい遠いところにいる者でも、わざわざ廻り路をして冬坡の店へ買いに来るようなわけでしたが、そのなかでもあの染吉が大熱心で、どういうふうに誘いかけたのか知りませんが、去年の秋祭りの頃から冬坡と関係をつけてしまったのだそうです。染吉もなかなか利口な女ですし、冬坡はおとなしい男なので、二人の秘密はよほど厳重に守られて、今まで誰にも覚られなかったのです。わたくしもちっとも知りませんでした。いや、まったく知らなかったのです。」
あるいは薄うす知っていたかも知れないが、この場合、彼としてはまずこう言うのほかはあるまいと思いながら、わたしは黙ってきいていた。
三
外の雪には風がまじって来たらしく、窓の戸を時どきに揺する音がきこえた。雪や風には馴れているはずの野童が、今夜はなんだかそれを気にするように、幾たびか見返りながらまた語りつづけた。
「そのうちに、またひとりの競争者があらわれてきました。と申したら、大抵御推量もつきましょうが、それはかの清月亭のお照で、もちろん染吉との関係を知らないで、だんだんに冬坡の方へ接近してきて、これも去年の冬頃から関係が出来てしまったのです