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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁
」
「鏡……。ほんとうに鏡が埋められていたのか。」と、わたしは炬燵の上からからだを乗出して訊いた。
「まったく古い鏡が出たのだから不思議です。」と、彼は小声に力をこめて言った。「お照がそれを掘出したところへ、染吉があとから来ました。染吉もまだ思い切れないので、今夜は日の暮れるのを待ちかねて、二本目の柳の下を掘りに来ると、お照がもう先廻りをしているので驚きました。どちらもあからさまに口へ出して言えることではありませんから、お互いにまあいい加減な挨拶などをしているうちに、お照がなにか鏡のようなものを袖の下にかくしているのを、常夜燈のひかりで染吉が見付けたのです。お照も早く常夜燈を消しておけばよかったのでしょうが、年が若いだけにそれ程の注意が行き届かなかったので、たちまち相手に見付けられてしまったのです。一方のお照が死んでいるので、詳しいことはわかりませんが、染吉はそれを見せろと言い、お照は見せないと言う。日は暮れている、あたりに人はなし、もうこうなれば仇同士の喧嘩になるよりほかはありません。なんといっても、染吉の方が年上ですし、お照は足が不自由という弱味もあるので、その鏡をとうとう染吉に奪い取られました。