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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二(うみがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 頁

青空文庫

それはかれらが将軍の前で申立てたと同じことであった。三人が三人、最初の申口をちっとも変えようとはしない。又それを変えないのが当然でもあるので、組頭はいよいよその判断に迷った。ただ幾分の疑念は、年上の三上と大原とが揃いも揃って見なかったというものを、最も年のわかい福井ひとりが見届けたと主張することであるが、唯それだけのことで福井の申立てを一途に否認するわけには行かないので、この上は自然の成行きに任せるよりほかはないと組頭も決心したらしく、詮議は結局うやむやに終った。

組頭が立去ったあとで、三上は福井に言った。

「組頭の前でそんなに強情を張って、貴公たしかに見たのか。」

「公方家の前で一旦見たと申立てたものを、誰の前でも変改が出来るものか。」と、福井は言った。

「一旦はそう申立てても、あとで何かの疑いが起ったようならば、今のうちに正直に言い直した方がいい。なまじいに強情を張り通すと、かえって貴公のためになるまいぞ。」と、三上は注意するように言った。

それが年長者の親切であるのか、あるいは福井に対する一種のそねみから出ているのか、それは大原にもよく判らなかったが、相手の福井はそれを後者と認めたらしく、やや尖ったような声で答えた。