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とざんだんぎ
登山談義
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《登山談義(とざんだんぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,219 字 · 16 頁
毎年八月の農閑期になると、富士、御岳、八海山へは必ず二十人乃至三十人の講中が繰り出し、其外一人のこともあり二、三人或は四、五人のこともあるが遠い処では出羽の三山、大和の大峰あたり、更に遠くは南部の恐山さえ出懸けた人もあります。近い処では三峰、庚申、男体などもありました。勿論信仰の登山であり、山の知識など皆無の人達ですから、山に関しては高いとか低いとか、或は鉄の鎖が何本あるというような、極めて大ざっぱなもので、例えば御岳へ登った人に、附近に高い山はなかったかと聞いても、高い山などは一もない、唯富士山だけが高く見えたという程度であります。其積りで後に御岳に登った所が、つい鼻の先に木曾駒、乗鞍のような大岳が立ちはだかっているので、唖然としたのでありました。それでも其人達が登山を済ますとお札と土産物を近処に配りながら、暢気に小半日も話し込んで行く旅の話、殊に怪奇な伝説を取り入れた山の神秘は、私の耳を引立て眼を丸くさせるに充分でしたから、知らず知らずの間に山に対する興味を深めて、登山慾を増長するに至らしめたことは疑ありません。梅干や赤漬の生薑に砂糖をかけたお茶請か何かで、四辺かまわぬ高声で主客が話をしている傍で、恐らくポカンと口を開けたまま、一生懸命に聞いている鼻たらし小僧を想像して見て下さい。