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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《白蟻(しろあり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,099 字 · 106 頁
しかし、戸口を跨いだとき、滝人は生暖かい裾風を感じて、思わず飛び退った。それは、いつも忌とわしい、死産の記憶を蘇らせるからであった。しかし、そこにあったのは眼窩が双方抉られていて、そこから真黒な血が吹き出ている仔鹿(かよ―上州西北部の方言)の首で、閾のかなたからは、燃え木のはぜるような、脂肪の飛ぶ音が聴えてきた。そして、板戸一重の土間の中では、おそらく太古の狩猟時代を髣髴とさせる――まったく退化しきってしまって、兇暴一途な食欲だけに化した、人達が居並んでいた。土間の中央には、大きな摺鉢形をした窪みがあって、そこには丸薪や、引き剥がした樹皮などが山のように積まれ、それが、先刻から燻りつづけているのである。そして、太い刺叉が二本、その両側に立てられていて、その上の鉄棒には、首を打ち落された仔鹿の胴体が結びつけられてあった。その仔鹿は、まだ一歳たらずの犬ほどの大きさのもので、穽に挾まれた前足の二本が、関節の所で砕かれてい、かえって反対のほうに曲ったまま硬ばっていた。それに、背から下腹にかけてちょうど胴体の中央辺に、大きな斑が一つあり、頸筋にも胴体との境に小さな斑が近接していて、ちょうど縞のように見えるものが一つあった。