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しろがねのえず

白金之絵図

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《白金之絵図(しろがねのえず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,356 字 · 47 頁

青空文庫

が、表のこの町内は、俺が許と、あと二三軒、しかも大々とした邸だ。一遍通り門札を見ても分る。いやさ、猫でも、犬でも分る。

一体、何家を捜す? いやさ捜さずともだが、仮にだ。いやさ、七くどう云う事はない、何で俺が門を窺うた。唐突に窓を覗いたんだい。」

すっと出て、

「さては……」

「何が(さては。)だい。」

と噛んでいた小楊枝を、そッぽう向いて、フッと地へ吐く。

八

老人は膝に扇子、恭しく腰を屈め、

「これは御大人、お初に御意を得ます、……何とも何とも、御無礼の段は改めて御詫をします。

さて、つかん事を伺いまするが、さて、貴方に、お一方、お娘御がおいでなさりはせまいか。」

と、思込んだ状して言った。

「娘……ああ、女のかね。」

唐突に他の家の秘蔵を聞くは、此奴怪しからずの口吻、半ば嘲けって、はぐらかす。

いよいよ真顔で、

「されば、おあねえ様であらっしゃります。」

「姉だか、妹だか、一人居ます。一人娘だよ。いやさ、大事な娘だよ。」

「ははっ、御道理千万な儀で。」

「それが、どうしたと云うんですえ。」と、余り老人の慇懃さに、膨れた頬を手で圧えた。

「私、取って六十七歳、ええ、この年故に、この年なれば御免を蒙る。