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しろ

白

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《白(しろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,577 字 · 16 頁

青空文庫

助けてくれえ! きゃあん。きゃあん。助けてくれえ!」

この声はまた白の耳にはこう云う言葉にも聞えるのです。

「きゃあん。きゃあん。臆病ものになるな! きゃあん。臆病ものになるな!」

白は頭を低めるが早いか、声のする方へ駈け出しました。

けれどもそこへ来て見ると、白の目の前へ現れたのは犬殺しなどではありません。ただ学校の帰りらしい、洋服を着た子供が二三人、頸のまわりへ縄をつけた茶色の子犬を引きずりながら、何かわいわい騒いでいるのです。子犬は一生懸命に引きずられまいともがきもがき、「助けてくれえ。」と繰り返していました。しかし子供たちはそんな声に耳を借すけしきもありません。ただ笑ったり、怒鳴ったり、あるいはまた子犬の腹を靴で蹴ったりするばかりです。

白は少しもためらわずに、子供たちを目がけて吠えかかりました。不意を打たれた子供たちは驚いたの驚かないのではありません。また実際白の容子は火のように燃えた眼の色と云い、刃物のようにむき出した牙の列と云い、今にも噛みつくかと思うくらい、恐ろしいけんまくを見せているのです。子供たちは四方へ逃げ散りました。中には余り狼狽したはずみに、路ばたの花壇へ飛びこんだのもあります。