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すかいさんきこう

皇海山紀行

木暮 理太郎

線上閱讀木暮 理太郎《皇海山紀行(すかいさんきこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,720 字 · 24 頁

青空文庫

て最奥の小屋まで行き右に折れて林中を進むと左から来るかなりの沢に出た。十時半である。右下にもかなりの沢が流れている。それは右股でこれが左股に相違ないと断定して、十分ばかり休んでから沢を登り初めた。割合に歩きよい沢だ、十分も進むと河床は、縦横に裂目が入って柱状を呈している玄武岩らしき一枚岩となって、その上を水が瀉下するさまがやや奇観であった。十時五十五分、左から沢が来た。十一時二十分、また左から小さな沢が合した。振り返ると谷の空に遠く金字形の峰頭が浮んでいる。何山であるかその時は判然しなかったが、四阿山の頂上であることを後に知った。暫くして二丈ばかりの瀑があり、右から小沢が合している。瀑の左側をからみ、苦もなくこれを越えるとまた三丈ばかりの滝があった。それを上って一町も行くと、また左に一沢を分っている。其処から三町程度進むと流は尽きそうになって、ちょろちょろ水が岩間に湛えているに過ぎない。そこで昼飯にした。谷の眺望が少し開けて、雁坂から金峰に至る秩父山塊、浅間山、その前に矢筈山、その右に四阿山などが見えた。空が急に曇って西北の風が強く吹き出したと思うと、霰が降り間もなく雪がちらついてきた。