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まゆかくしのれい

眉かくしの霊

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《眉かくしの霊(まゆかくしのれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,284 字 · 51 頁

青空文庫

電燈は明るかった。巴の提灯はこの光に消された。が、水は三筋、さらにさらさらと走っていた。

「馬鹿にしやがる。」

不気味より、凄いより、なぶられたような、反感が起こって、炬燵へ仰向けにひっくり返った。

しばらくして、境が、飛び上がるように起き直ったのは、すぐ窓の外に、ざぶり、ばちゃばちゃばちゃ、ばちゃ、ちゃッと、けたたましく池の水の掻き攪さるる音を聞いたからであった。

「何だろう。」

ばちゃばちゃばちゃ、ちゃッ。

そこへ、ごそごそと池を廻って響いて来た。人の来るのは、なぜか料理番だろうと思ったのは、この池の魚を愛惜すると、聞いて知ったためである。……

「何だい、どうしたんです。」

雨戸を開けて、一面の雪の色のやや薄い処に声を掛けた。その池も白いまで水は少ないのであった。

三

「どっちです、白鷺かね、五位鷺かね。」

「ええ――どっちもでございますな。両方だろうと思うんでございますが。」

料理番の伊作は来て、窓下の戸際に、がッしり腕組をして、うしろ向きに立って言った。

「むこうの山口の大林から下りて来るんでございます。」

言の中にも顕われる、雪の降りやんだ、その雲の一方は漆のごとく森が黒い。