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しんきちとおかあさん
真吉とお母さん
小川 未明
線上閱讀小川 未明《真吉とお母さん(しんきちとおかあさん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 3,689 字 · 8 頁
真吉は、よくお母さんのいいつけを守りました。お母さんは、かわいい真吉を、はやくりっぱな人間にしたいと思っていました。そして、平常、真吉に向かって、
「人は、なによりも正直でなければなりません。また、よわいものを、いじめてはいけません。正しいと思ったら、相手がいかに強くても、恐れずに、信じたことをいわなければなりません。昔の偉い人は、みんなそうした人たちでありました。また、小さな日本の国が、大きな国と戦って、勝つことができたのは、日本人にこの精神があったからです。貧乏をしてもけっして曲がった考えを持ってはならないし、困っているものがあったら、自分の二つあるものは、一つ分けてやるようにしなければなりません。」と、日ごろから、よくいいきかされたのでありました。
真吉は、外にいても、内にいても、よくお母さんの手助けをしましたが、お父さんがなかったので、奉公に出なければならなくなりました。それも、遠い東京へゆくことになりました。東京には、まだ顔を知らない叔父さんが住んでいられて、いい奉公口をさがしてくだされたからです。
なつかしい川、森、野原、そして、仲のいいお友だちや、かわいいペスに、白のいる村から、そればかりか、やさしいお母さんと別れなければならぬのは、どんなに真吉には悲しいことであったでしょう。