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いしべいゆうれい

石塀幽霊

大阪 圭吉

線上閱讀大阪 圭吉《石塀幽霊(いしべいゆうれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,907 字 · 26 頁

青空文庫

けれどもいくら試みても、ポストの処から、被害者の倒れていた地点は、緩やかにカーブしている石塀に隠れて見えない。同様に、被害者の倒れていた処からも、ポストは見えない。蜂須賀巡査は、とうとう巻尺を投げ出して云った。

「吉田君。もう一度だけ訊くが、これが最後だから、どうか僕を助けると思って、頼むから正直に云って呉れ給え。ね。君は確かに、あの郵便屋と二人で、このポストの直ぐ側に立っていて、犯行の現場を見たんだね?」

雄太郎君は、この執拗きわまる蜂須賀巡査の質問に、思わずカッとなったが、虫をころして昨晩の通り返事をした。

「ふん、やっぱりそうか……いや、疑って済まなかったね」蜂須賀巡査は巻尺を仕舞いながら云った。「すると、どうしてもこの長い石塀は、あの時より、少くとも三尺は道路の方へ飛び出している事になる……全く、馬鹿げた事だ……いや、どうも有難う」と雄太郎君に会釈しながら、「だが、兎に角こ奴は、ひょっとすると証人の責任問題になるかも知れませんから、その点心得ていて下さい」

そう云って蜂須賀巡査は、いささか気色ばんで帰って行った。

――困ったことになったぞ。と雄太郎君は溜息をつきながら、――ひょっとすると、俺のほうが間違っていたかな? いやいや、断じて間違ってはいない筈だ。