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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
線上閱讀本庄 陸男《石狩川(いしかりがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 頁
彼は二服目をぷかぷかと吸って独りごとしながら立ちあがった。
玄関に出てみた。今日はそこに鋳物の火鉢がおかれ、炭火をいけていた。寒さは一日ごとに強くなっていた。守衛たちがそこにかたまっていた。
「甚助――」と彼は呼んだ。
供待ちの設備が無かったので、甚助は彼らのうしろで遠慮ぶかく手をあぶっていた、話しかけられたことには返事をしたが、その大半はお互い通じなかった。どちらも知り合おうとする熱意は持っていなかった。必要も無いのだ。甚助はぶっつり口をつぐんだ。彼は東北人特有のがまん強さで、今朝から同じところに蟇のように蹲んでいた。
彼は呼ばれて顔をあげた。
「飯はどうした?」と、阿賀妻は大きなこえで云った。
「わアしも、今それを考えていたところで――」と、彼は腰に結んだ握り飯の包みをおさえて立ちあがった。
「喰おう、持久戦じゃ、あがんなさい」と彼は自分の家のように気易く云って、「おい」と守衛に命じた、「おぬし、一走り行って、使丁に湯を申しつけなさい、そなたは宜い、そなたは――」と彼は甚助をとめた、「すなわち、われらは招ばれた客じゃで、の」
じろりと守衛らに一瞥をくれて彼は応接所にひきかえした。